2009.12.13
海と自画像
海と自画像
海中キャンバスの白地から魚群が透りぬける
時折、プランクトンが騒ぎをあおる
ぐわわと誰か咳をして、
魚群が一瞬、散った
いつか私を蘇らせる言葉を潮が廻(めぐ)るならば
こういうふうに静かに、自然(ひとりで)に、うたいます
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
『航海日誌』
北の港の雑貨屋で
いい匂いのする栞をみつけた
満足げに日誌に挿む
丘を振り返る葛藤と愛を詠んだ詩集
それらあはせたのが、私の航海日誌
甲板にでて、ビールを飲む
とても、うまい。
黒い肌に汗がにじむ
昨日のアルコルは抜けてゆく
飛行機雲が一筋で、素直
私には高級な航海図
栞を夕陽にかざすと、
熱さをうけ、香る
船首が汐を分けてゆく、
金剛石をちりばめながら。
波の路にさうびが咲いている。
海原に蜜柑と檸檬が敷き詰まる。
気分がいい、といいたげに、愛詠(あかね)色に染まる船は海を翔ぶ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『私の中の貴方』
私の中の貴方は
確かに存在する
それはうつろいやすく
とてもつかみがたい
粒状の貴方
進化を必要としない海底で私が散らばっている
うかつなままの安らぎ
時折、異口同音の孤独を持った魚群が目の前を過ぎ去ってゆく
ある日、私も魚群に見習って
闇雲な永遠を求めて、旅にでる
そしてすぐに、死んでしまう
いつか私を蘇らせてくれる言葉に
であったならば、もういちど、貴方に還る詩をうたうのです
私と貴方に
もし思いの粒の和合体の奇跡が在るならば
貴方と私を描いたキャンバスから
窓枠で私と貴方がよりそって見えると思います
そして私と貴方は
交わることなく、触れ合って、未来をつむぐことができるでしょう
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
『紫苑』
触れずに愛す手段があるならば
どこからも、遠く離れたこの街で
君を思う、言葉のメッキが剥がれ落ちたころ
無邪気で、臆病なペシミストが家出するでしょう
最初はパンくずを道に落としたりもします
言葉の方法すら忘れ、上手に話せません
知らない街ではみんなが
外国人とふれあうように、そっとしてくれるから
楽しく、そして、いつていの寂しさがあるのです
けれども、それこそがいつしか虚実の雲を晴らすのです
それは、月を畏敬する雲のよう
おだやつかな光
君よ、愛しき君
それは君を見つけたときから依然とありました
距離のない思いだけが私です
君よ、美しき君
同じ季節をみにゆきましょう
四つの瞳を草原にならべましょう
愛しき君
いつまでもおなじなのです
いつまでも、あるのです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『天文潮』
星をぶらさげた夏の空が
未熟、ゆえに海によりかかる
さぱさぱと
海の角が消え、
海は丸みをおび、回転し始めた
あるいは、静かに波立ち、潮はうまれる
あいもかわらぬ歌を青い星に朗読するひとりの詩人
潮が生なまな砂粒を優しく曳いてゆく
人々の祈りで星は熟し
冬に、空の星がこぼれおちるのでしょう
悟性を極めた星の軌道
やがて詩人は、海に、こうべをたれ、
砂のついた手を洗っていた
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『波紋』
うすじろい水紋の歌を聞くことが出来たなら
あなたは肩をまわし、顔をあげ、首をゆする
海面にゆらめく太陽を、
意味はなく、欲しくなる
魚群の腹の輪郭を
かたどる陽光に手足をのばし、よつんばい
あなたの浮上と産声を
祈りの枠を超え、待ちわびている
風すさぶ砂浜はあなたを笑わせる
自由すぎる丘は不安にさせるかもしれない
けれどもしたら、
あなたは孤独に安らぐ海底よりも
薄い服を着て、素足で浜辺を歩いているほうが
きっと似合うとおもうのです
今、言葉の内壁をのりこえることが出来るならば
私の裡なる声はわたしどうりに願います
どうか・・・
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
頬に風
自然に、ひとりでに、かけがえなく
君は歌っているのですね
ここからは見えぬから、
君に触れるように
そぅっと目をとぢる。
片手ですくった海水が細い指をつたい、
海の光となってこぼれおちる
色白く染まる海よ
君を映し、ゆらめいてる
波の高さはちょうど、くるぶしまで
ゆきてはかえす ゆきてはかえす
つちふまずから砂の笑い声
まぶたの裏で君は波と遊んでいる
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
『ワルツという手紙』
ある日、君が
愛という名に押し潰されて
永遠の闇雲に迷い込んだならば
いつか、思い出してください
歌を心から歌うことを、種から花が咲くことを
旋律や見えぬ休符と確かな生命の鼓動
おのずと君が身につけた防禦術は払拭され、
自身の意思がたちのぼり、
君は知ることのない摂理に導かれるでしょう
最初から最後まで
そういうふうに,
私は願い続けるのです
「娘・愛花理に捧ぐ」
海中キャンバスの白地から魚群が透りぬける
時折、プランクトンが騒ぎをあおる
ぐわわと誰か咳をして、
魚群が一瞬、散った
いつか私を蘇らせる言葉を潮が廻(めぐ)るならば
こういうふうに静かに、自然(ひとりで)に、うたいます
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
『航海日誌』
北の港の雑貨屋で
いい匂いのする栞をみつけた
満足げに日誌に挿む
丘を振り返る葛藤と愛を詠んだ詩集
それらあはせたのが、私の航海日誌
甲板にでて、ビールを飲む
とても、うまい。
黒い肌に汗がにじむ
昨日のアルコルは抜けてゆく
飛行機雲が一筋で、素直
私には高級な航海図
栞を夕陽にかざすと、
熱さをうけ、香る
船首が汐を分けてゆく、
金剛石をちりばめながら。
波の路にさうびが咲いている。
海原に蜜柑と檸檬が敷き詰まる。
気分がいい、といいたげに、愛詠(あかね)色に染まる船は海を翔ぶ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『私の中の貴方』
私の中の貴方は
確かに存在する
それはうつろいやすく
とてもつかみがたい
粒状の貴方
進化を必要としない海底で私が散らばっている
うかつなままの安らぎ
時折、異口同音の孤独を持った魚群が目の前を過ぎ去ってゆく
ある日、私も魚群に見習って
闇雲な永遠を求めて、旅にでる
そしてすぐに、死んでしまう
いつか私を蘇らせてくれる言葉に
であったならば、もういちど、貴方に還る詩をうたうのです
私と貴方に
もし思いの粒の和合体の奇跡が在るならば
貴方と私を描いたキャンバスから
窓枠で私と貴方がよりそって見えると思います
そして私と貴方は
交わることなく、触れ合って、未来をつむぐことができるでしょう
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
『紫苑』
触れずに愛す手段があるならば
どこからも、遠く離れたこの街で
君を思う、言葉のメッキが剥がれ落ちたころ
無邪気で、臆病なペシミストが家出するでしょう
最初はパンくずを道に落としたりもします
言葉の方法すら忘れ、上手に話せません
知らない街ではみんなが
外国人とふれあうように、そっとしてくれるから
楽しく、そして、いつていの寂しさがあるのです
けれども、それこそがいつしか虚実の雲を晴らすのです
それは、月を畏敬する雲のよう
おだやつかな光
君よ、愛しき君
それは君を見つけたときから依然とありました
距離のない思いだけが私です
君よ、美しき君
同じ季節をみにゆきましょう
四つの瞳を草原にならべましょう
愛しき君
いつまでもおなじなのです
いつまでも、あるのです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『天文潮』
星をぶらさげた夏の空が
未熟、ゆえに海によりかかる
さぱさぱと
海の角が消え、
海は丸みをおび、回転し始めた
あるいは、静かに波立ち、潮はうまれる
あいもかわらぬ歌を青い星に朗読するひとりの詩人
潮が生なまな砂粒を優しく曳いてゆく
人々の祈りで星は熟し
冬に、空の星がこぼれおちるのでしょう
悟性を極めた星の軌道
やがて詩人は、海に、こうべをたれ、
砂のついた手を洗っていた
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『波紋』
うすじろい水紋の歌を聞くことが出来たなら
あなたは肩をまわし、顔をあげ、首をゆする
海面にゆらめく太陽を、
意味はなく、欲しくなる
魚群の腹の輪郭を
かたどる陽光に手足をのばし、よつんばい
あなたの浮上と産声を
祈りの枠を超え、待ちわびている
風すさぶ砂浜はあなたを笑わせる
自由すぎる丘は不安にさせるかもしれない
けれどもしたら、
あなたは孤独に安らぐ海底よりも
薄い服を着て、素足で浜辺を歩いているほうが
きっと似合うとおもうのです
今、言葉の内壁をのりこえることが出来るならば
私の裡なる声はわたしどうりに願います
どうか・・・
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
頬に風
自然に、ひとりでに、かけがえなく
君は歌っているのですね
ここからは見えぬから、
君に触れるように
そぅっと目をとぢる。
片手ですくった海水が細い指をつたい、
海の光となってこぼれおちる
色白く染まる海よ
君を映し、ゆらめいてる
波の高さはちょうど、くるぶしまで
ゆきてはかえす ゆきてはかえす
つちふまずから砂の笑い声
まぶたの裏で君は波と遊んでいる
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
『ワルツという手紙』
ある日、君が
愛という名に押し潰されて
永遠の闇雲に迷い込んだならば
いつか、思い出してください
歌を心から歌うことを、種から花が咲くことを
旋律や見えぬ休符と確かな生命の鼓動
おのずと君が身につけた防禦術は払拭され、
自身の意思がたちのぼり、
君は知ることのない摂理に導かれるでしょう
最初から最後まで
そういうふうに,
私は願い続けるのです
「娘・愛花理に捧ぐ」
2009.12.07
笑顔
貴方へ。と言葉で祈れば
私の耳と耳の真ん中から、そっぽに向かって
ため息がでたことに気付きました。
ため息の中の「あぶく」の膜の内側に、ひとつの言葉が潜んでいて
さらに言葉の影でかくれんぼしてる童子。
その童子を鬼が探している。
黒い唇から、牙をむいて、吠える言葉には
鬼は遠くからちゃんと鎖につながれていることをキョロキョロ確認もするのです
それでも近寄って、けれど鎖が外れることを想像して、甲高い声を立てて怯えます。
あぶくとともに、はじけていく言葉たち
はじける前に鬼は童子を見つけることが出来なくて
ただ、それがつらくて、つらくて、
もしかしたら、もう鬼だけ残っているんじゃないかと疑いはじめてしまったよ。
顔の中央から暗闇に消えてしまう貴方
ひとつだけ笑顔があったことが刻まれている。
階段でねっころがっている
笑顔すら抱きしめられぬのです。
2009.12.01
白い海
頬に風
自然に、ひとりでに、かけがえなく
君は歌っているのですね
ここからは見えぬから、
君に触れるように
そぅっと目をとぢる。
片手ですくった海水が
細い指をつたい、海の光となってこぼれおちる
その海が色白く染まる
波の高さはちょうど、くるぶしまで
ゆきてはかえす ゆきてはかえす
つちふまずから砂の笑い声
足跡にきらきらと貝殻の粒
まぶたの裏で
君は波と遊んでいる



